水村喜一郎さんという画家をご存じでしょうか。先日、『パレット』夏号にご登場願いたく、取材に行ってまいりました。長野県東御市の水村喜一郎美術館にお邪魔し、なんと5時間にも及ぶ超ロングインタビューとなりました。
左の写真がご本人と作品です。写真では十分に伝わらないかと思いますが、とても詩情ある絵をお描きになります。左側の作品は浦安の夕景を描いたものです。行ったことのない場所なのに、どこか懐かしい感じを覚えました。ただ風景を写生したというだけではない何かが込められているように私には感じられました。
ところで、写真をよくご覧になるとおわかりいただけるのですが、水村さんには両手がありません。水村さんは口で筆をくわえてこれらの絵を描いておられます。
両手のない画家というのは、一般的にはおそらく衝撃的に受けとめられることと思います。その部分がどうしてもクローズアップされがちでしょう。しかし、ご本人と接し、お話ししているうちに、私は水村さんの両手がないということをすっかり忘れていました。水村さんご自身、そんなことにはまったく頓着しておられないからです。
水村さんご本人に限りません。作品も同じです。口で描かれた絵というのは、たしかに感嘆するほかないのですが、そのことを差し引いて、純粋に絵として見たときも大変魅力的なのです。最初のうちはどうしても「口で描かれた絵」という意識が混じって見ていましたが、そのうち、「絵」としか見なくなっている自分に気がつきました。手があるとかないとかは関係なく、見る者を惹きつける力があるのです。
水村さんのことは、『パレット』夏号の「晴人(ぱれっと)さん」のコーナーで詳しくご紹介できるかと思います。ご期待ください。
また、東御市方面へお出かけの際には、水村喜一郎美術館へも足を伸ばされることをおすすめしたいと思います。(F)
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